京都:三十三間堂・国立博物館「琳派 京を彩る」

京都に泊まったのが10月22日だったから、もうひと月が経つ。
おかげで詳細をすっかり忘れてしまった。
どれだけ思いだせるかが頭の錆つきの点検にもなるのだろうが、点検じたいがすでに錆びた定規をあてるようなものなので、どれだけボケたかがわからない。あんがいボケていないのかもしれない。と、とぼけるところが、いかにも年寄り、否、否、年寄りぶりっ子くさいではないか。

きょう、ネットのニュースを読んでいたら、ユーモアの質の変化が、将来どのような痴呆症になるかの予測になるという。しかし、その内容じたいが頭にはいらないのであってみれば、どのようにわたしの文章が変わろうと、あるいはふざけがすぎようと、知ったことではないわ。歳をとると、かくも無敵になるものか。

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三十三間堂。国立博物館へ行くのなら、その向かいにある三十三間堂へ行きたい、とわたしがいいだして、ほかのひとたちも賛同した。
わたしはたぶん3度めの参拝。堂内の強い気に圧倒された。千体の千手観音像、そして1体の中央の観音像。風神雷神、二十八部衆。
建物の長さ120メートルとあるが、記憶ではその半分の長さの感覚だった。

1164年、平清盛の時代につくられ、80年後に消失したが、すぐに再建されたとのこと。
900年近い時間に、どれだけのひとびとの願いや悲嘆、思いが、このなかに詰めこまれてきたことだろう。その蓄積された巨大な思いのかたまりがのしかかってきて、身体が傾くほどだった。
「気」を感じてみたかったら、ここはおすすめかもしれない。ただし、どのような種類の「気」で、どのような作用、影響をおよぼすかは、わたしにはわからないので、自己責任でお願いします。

わたしは畏怖の念にうたれ、思わず、蝋燭を献灯した。

写仏を習いはじめた頃、すぐに展覧会があり、出品のために千手観音を墨一色で描いたことがあった。習いはじめてひと月ほど、まだ筆の扱いにさえ慣れていない頃で、もらった2枚の薄美濃紙ではたりず、買いたして4枚描いた。(53センチ×70センチ)
本体から四方へすくすくと伸びた40の手を描くのがたいへんだったが、はじめたばかりだったので熱心に描きこんでいったものだ。

いま、三十三間堂の千手観音を思いだすと、40の1001倍の手が、あの堂内で、ひとのいっさいの感情をささえる無数の枝となり森をなしているように見える。あるいは表現が適切ではないかもしれないが、手は、うごめく無数の蛇のようにも思えてくる。恨みの蛇、あるいは智慧の体現としての蛇。

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さて、この「琳派 京を彩る」展覧会、点数が多く、見応えがあった。
木彫で、あるひとの像を描こうとしてそのひとを見ると、顔が割れて、なかから観音(?)が現れてきて、そのひとをスケッチすることができなかった、というめずらしい作品が2点あった。顔のところが縦にまっぷたつに割れていて、そこから花が開くように観音の顔が現れている。

中学のときだったか、尾形光琳の蓋のもりあがった硯箱の写真が教科書に載っていた。それが、目の前に展示されているのに感動した。黒楽、赤楽の茶碗、風神雷神図、そしてその屏風の裏の絵が印象的。

図録を買おうと思って売店で見たら、分厚くて、3000円だった。3000円! 2千数百円だろうという予測を裏切った。だから買えなかった。分厚くてあまりに重そうだったし。
売店のレジには長い行列ができていた。図録を買ったひとをひとりだけ見た。30代くらいの男性だった。行列に並びながら、やはり図録を買うべきか悩んだ。けれど、友人を待たせて行列にならんでいるので、並びなおすことはできない。ひょっとして、レジの脇にも図録が積んであったのだろうか。おぼえていない。ずいぶん前に思ったはずだった。あれこれグッズを買うより図録だけを買うほうがけっきょくは得だし役にたつ。その教訓はいかされなかった。

歳のせいだ。値段の感覚が古いのだ。けれどふしぎなのは、スーパーで3000円以上買うのはごくふつうなのに、図録は躊躇するということ。そう、図録は、買って帰って1度見て、あとは本棚、ということがあまりに多いから。
けれど、スーパーで3000円買って、それがどれだけ腹のたしになるだろう。

これからは考えをあらためねばならぬ。図録は3000円超えがあたりまえの時代になったのだと。

さて、思いなやんで買ったのがマスキングテープと、宗達のクリアファイル。

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あ、アップにするとマスキングテープの端がめくれていてみっともない。
1年くらいはこの携帯に、花柄のマスキングテープを貼っていた。飽きたので替えてみた。下端は魔女展のときのもの。箒に乗った魔女が描かれている。

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クリアファイルの表は風神、裏は雷神。

それにしても、図録を買わなかったのをあとあとまで残念に思い、夫に、
「琳派展がとっても良かったよ。日帰りで観てきたら。それでね、図録買ってきて」
すると、
「高い交通費をだして観るほど、琳派に興味はない」と、一蹴されてしまった。

通販で買えないか調べてみたが、だめだった。が、なんとこれを書こうとしてまた通販を調べた結果、あるではないか。図録だけ、通販で買えますよ! 会場で思ったほど売れなくて通販をはじめたのだろうか。
さっそくそのFAX注文書を印刷しようとしたら、印刷できない! なんだ、売り切れたので、印刷できないようになっているのか。けど、そんなばかな。ウイルスがはいりこんだのか。いままで印刷できていた文書も印刷できない。

これはプリンターが問題だ。
・・・と、わかるまでにずいぶん時間がかかってしまった。ノズルチェックをしたら、だめだったのだ。それで、ヘッドクリーニングをした。すると、すっかりきれいに印刷できるようになった。ノズルヘッドよ、いったいどれだけ垢がたまっていたの。
そして、図録をFAXで注文したんだけれど、どうか売り切れていませんように! 値段は代引き送料手数料こみで3900円。欲しい本なら、3000円超えても買えるんですよ。お金の価値基準て、一様じゃないんだ。

この琳派展、会期は明日23日までです。

(つづく)

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プロフィール

風のミランダ

興味の対象は演劇、映画、文学です。趣味は彫刻、写仏、乗馬など。何十年も生きてきて、話題盛りだくさん、といきたいところですが、あんがい狭い?