京都:先斗町,岡崎のホテル

平安神宮の近く、岡崎に泊まった。
マンション形式のホテルで、もとは老人向けマンションにする予定だったとか。70㎡ほどのひろさで、台所には自炊できる設備がととのっている。
「老夫婦で住むにはちょうどいいおおきさね」と、だれかがいった。
わたしは、あとひと部屋ほしいな。夫婦べつべつに寝る部屋が。あるいは、物置代わりの部屋が。なんて、横着なことをいってるな。

むかし、油絵をならっていた頃、超高層マンションにひとりで住む男性がおなじ教室にいた。70歳代だったか、60歳代だったか、男性は建築デザイナーだった。マンションのひろさは78㎡くらいとのこと。つれあいを亡くして、ひとり暮らしだった。
ひとりで住むにはちょうどいいおおきさですね、とわたしがいうと、男性は、狭い、狭い、とこぼした。額にいれた絵や、いろんなモノがあって狭くて狭くて、ということだった。

たしかに趣味があり、その道具があり、次つぎにできていく作品があれば、住む場所はどんどん狭くなる。
ところで、なぜ建築デザイナーなのに、マンションに住むのか尋ねると、自分の家のことまで考える余裕がないとのことだった。
じぶんの設計した建物で耐震性に疑問があるのもいくつかあるそうで。

わたしは絵の教室をやめてしまったので、あとはその教室の先生に聞いたのだけれど、その男性は、再婚し、しばらくして病気になり、亡くなったそうだ。

教訓:いつまでもあると思うな、いまの生活。

さて、泊まったホテルにはレストランはない。夕食は、めんどうなので近くで、ということになった。泊まったホテルの特別定食メニューが近くの料亭にあったので、その予約を依頼したけれど、あいにく満席だった。そりゃむりもない。平安神宮の近くで時代祭がおわったその夜だもの。

そこで、Fさんが先斗町(ぽんとちょう)の店を予約し、そこへ行くことになった。
京都先斗町に降る雪も」を、知っているひとと知らないひとの比率はどんなものだろう。調べたら、これ、お座敷小唄なんだそうで。歌謡曲とはちがうんですね。

ともかく、その唄で有名な先斗町へはじめて行った。

1-PA228832.jpg

1-PA228834.jpg 1-PA228835.jpg

1-PA228836.jpg 1-PA228837.jpg

1-PA228838.jpg

1-PA228846.jpg

帰りは鴨川べりを歩きながら、地下鉄の駅へ。Fさんは「ホテルまで歩いて帰ったこともあるの」と、いっていたけれど、みんなその気はなし。右の建物は京都四條南座。

1-PA228847.jpg

さっきはいったお店も川側はこんなふうになっているのね、と話しながら歩く。
川べりでは鴨川名物、岸にすわりふたりたたずむ光景もあり、みんな見て見ないふりをして通りすぎる。ごくろうさんなこと。夜はけっこう寒かったんどすえ。う・ま・ら・やしくはないけどな。

泊まったホテルは大浴場があった。これは友だちと泊まるときはとてもたすかる。部屋の浴室しかないと、ふたりまたは3人が浴室を交替でつかわなくてはならないから。
和室に3人ぶんの布団を敷き、居間のソファーベッドをととのえた。廊下の奥の部屋にはシングルベッドがふたつあった。

ひとりのひとが、「悪いけど、わたし、ここがいい」といって和室の廊下側の布団にすわりこむと、次つぎに和室がほかのひとに占領され、居間のソファーベッドにはFさんがすわりこんだ。

あれよあれよというまのことだった。みんな、なんて遠慮深くやさしいのだろう。その場にいなかったHさんと、ぼうっと見ていたわたしが、奥部屋の上等のシングルベッドになった。
うーん、そうね、去年はわたしが企画して、わたしがマットの薄いエキストラベッドに寝たからね、みんな気をつかったんだね。もういちどいおう。みんな、なんてやさしいの!

11時半にはみんな床にはいってしまった。むかしは夜中すぎまで話しこんでいたものだけれど。
11時半に寝るのはきつい。わたしは、まったく眠くなかった。しかたがないので薬を飲み、あかるい洗面所で眠くなるまで本を読んでいた。
橋本治著『いつまでも若いと思うなよ』

はい、そのとおりです。

翌朝、目覚まし時計が鳴る前に目がさめた。しめしめ。となりのベッドに気づかい、そうっとドアを開け廊下にでた。
トイレに行くと、居間の仕切りのガラスドアに早起きMさんの姿が見える。さすがだね。ドアをほそめに開けて、眠ねむの顔で、
「いま何時?」と聞くと、
「7時50分」といわれた。そして、
「もうみんな起きてるよ」
げっ。

1-PA238849.jpg

まあ、でも、朝食の配達にはまにあった。みんなお茶を飲んだり、お風呂にはいったりしたあとだった。
自炊できるところだから、朝食はなにか作ろうか、という話にはまったくならなかった。なにか買ってこようか、という話も立ち消えになった。旅先でくらい、みんな上げ膳据え膳で楽をしたいのだ。

(つづく)




コメント

非公開コメント

プロフィール

風のミランダ

興味の対象は演劇、映画、文学です。趣味は彫刻、写仏、乗馬など。何十年も生きてきて、話題盛りだくさん、といきたいところですが、あんがい狭い?