京都:鳴き龍の相国寺

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10月22日 京都の時代祭を見に行った。
学生時代の囲碁部の仲間と恒例の秋の旅行。ほんとうは箱根にいくはずだったけれど、計画した時点で火山が奮起して煙をあげていたので、京都になった。

名古屋駅から新幹線のぞみで京都駅まで35分。新幹線で京都まで通勤しているひともいるくらいだから、京都は近い。ただし、近いからといって、そう気軽には行けない。愛知県内の家から30分で行けるところは往復1000円弱だけれど、京都までだと往復新幹線で1万円ほどかかる。

それでも以前はよく行っていた。片道をバスにして、節約した交通費でおいしいものを食べる、ということもした。往復を新幹線ではなく、ふつうの列車で行ったこともある。もっと以前は、車だったが、夕方帰るときに高速道路にはいるまでの渋滞には辟易した。

京都へはたいてい日帰りだから、犬の面倒を見てくれるひとが家にいれば、こんな便利な場所もない。ところが今は日帰りだと犬の散歩の時間までには家に帰らないといけない。京都にかぎらず、ふたり暮らしになってからは、ほとんど旅行をしなくなった。

だから囲碁部の仲間と行く旅は、今年で15回めだけれど、たのしみのひとつになっている。
おもしろいことに、京都、というだけで、気分的にちがう。近いから、なめてかかっている。いつもなら、いろんな場合を想定して仕度をととのえるのに時間がかかるが、今回は、あっというまに仕度ができてしまった。なにか困ったことが起きたら、30分で名古屋に帰れると思うと、旅にでる、というたいそうな気分が薄れてしまう。

が、なめたらあかん。京都をなめたら、なめ返されて、ぺしゃんこの飴になる。

そのことを思い知らされたのが、その日最初に行った相国寺(しょうこくじ)だった。

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庭園のけしきがいい。松のかたち、塀と石橋の配置、プランターの並びぐあい、うーん、なんていえばいいのだろう、こんな絶妙のバランス、繊細な自然体の配慮がいたるところにみちている。
京都は、今調べたら11年ぶりだった。11年のうちに、外つ国びとになっていたのか、わたしの目は。

方丈の襖絵のあまりのうまさに驚嘆する。うまいの、あたりまえなんだけど。あたりまえにうまいのが多すぎる。さすが京都だ。1200年以上にわたる歴史のなんという偉大さ。もっとも、以前も、それなりに驚嘆したはずなのを、すっかり忘れているだけなのかもしれない。驚嘆するべきは、わたしの頭のなかの忘却の砂嵐ということになる。

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木の幹のつややかささえ典雅だと思ってしまうわたしは、どこかおかしいのではないか。

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(庫裏)

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(法堂《はっとう》)
天井の蟠龍図は狩野光信筆、本尊と脇仏は運慶作。

相国寺は足利義満が後小松天皇の勅命を受けて1392年に完成させた一大禅苑。開山は夢窓国師。末寺は金閣寺、銀閣寺をはじめとして全国に90余りある。末寺が金閣、銀閣というのが、なんともすごいではないか。

法堂の龍は、「八方睨みの龍」、「鳴き龍」ともいわれる。天井の龍の目を見ながら堂内をぐるりと回っていくと、どこにいても龍の目がこちらを睨みつけているように見えるから、八方睨みの龍だとお坊さんに説明された。

これは龍の目の位置を円錐形の頂点とするとわかりやすい。龍の目と床にいるわたしとの距離は円錐形の斜辺(母線)である。円錐形の底の円周のどの位置から見ても、頂点は変わらない。だから、堂内をぐるりと回っていってもそれは円周を回るにすぎないから、龍の目がどこまでも追ってくるように感じられる。トリックともいえないことだけれど、じっさい体験してみると、ほんとだ、ほんとだ、といいながら、うまく騙されて回っていくのがたのしい。

「鳴き龍」は下で手をたたくと、天井に反響して龍が鳴いたような音がする。だから、回って戻ったら、手をたたいてみてください、といわれたので、戻って所定の位置でパーンと手をたたく。すると、パーンという音がでたにもかかわらず、異質のキュロキュロ、という音がおりてきて、これもたのしい。

ちなみに、6人のうち、わたしがいちばんはっきり鳴いてくれた。理由はかんたん、わたしがいちばん子供っぽくて、掌が痛くなるほど思いきりたたいたからだ。バン、じゃなくて、威勢よくパーンとたたく。キュロキュロ。たのしかったから、わたしだけ、最後にもういちどたたいてしまった。キュロキュロ。ふふふ。



今回の京都1泊旅行で写真を320枚も撮った。時代祭の馬がかわいかったから。けれど、逆光のせいで、たいした写真にはならなかった。

・・・しばらく旅行の話しがつづきます。よろしければ、またご来訪くださいませ。

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プロフィール

風のミランダ

興味の対象は演劇、映画、文学です。趣味は彫刻、写仏、乗馬など。何十年も生きてきて、話題盛りだくさん、といきたいところですが、あんがい狭い?