合気道と「気」:その5;会派

「トーヘイさん、ずっとみえてないね、作品が置いたままになってて、腕がとれそう」
26日、今年最後の彫塑教室がおわったとき、Hさんがそういうのです。
トーヘイさん・・・。
「そう、あの若い男性」
思いだしました。もう5年ほどみえてません。
「それにしても、ほんとうに合気道の藤平先生と関係なかったのかしら」
と、わたしがいうと、Oさんが、
「あのね、内緒にしてくれといわれたんだけど、藤平先生のお孫さんなんだって」

なんと、なんと。
またもちょっとしたシンクロニシティ。ちょうど会派のことを書こうとしていたのです。

Oさん「でも、彼はまったく合気道をやったことがないんだって」
「わあ、もったいない」

30年以上前、東京から先生をおよびして、女子大小路ちかくの道場で合気道を習っていた頃、よく「トーヘイ先生」のお名前を聞きました。「東平先生」という漢字を想像していたのですが、ただしくは「藤平先生」
心身統一合氣道(気の研究会)をたちあげたかたです。

当時、わたしたちの会派は、ほかの会派よりも「気」をおもんじる、ほかの会派は技術をおもんじる、と聞いていました。そのときの会のただしい名称をもうおぼえていないのですが、「気の研究会」というのは聞き覚えがあります。たぶん、この会派だったのでしょう。

Oさん「藤平先生は植芝盛平の娘婿で、跡目争いがあって独立したんだ」

植芝盛平直系の合気会も、精神性をおもんじるとwikiに書いてあるので、たしかにこのふたつの会派のちがいは、たんに跡目争いにはっしただけのものかもしれません。

その後、ちがう会派の先生に習うことになりましたが、それはまた後に。

さて、名古屋でほそぼそと続けていた合気道部。一度だけ、本社の合気道部の合宿に参加したことがあります。
記憶があいまいなのですが、河口湖ちかくの合宿所だったと思います。帰りの車のなかから見たコスモスがきれいでした。

わたしの好きな作家石川淳は、好きな花を聞かれて「そう、たとえば、コスモス」とこたえました。
合気道の合宿から帰るときにながめていたコスモスは、まだ石川淳の作品に出会う前だったので、狩人の歌『コスモス街道』の人のこころの変転の風景でしたが。

いま、この情景を思いだすわたしのなかでは、コスモスは、おおいなる「気」のながれのうつくしさとして感じられます。いっせいに風になびくコスモス。そのとき大気の動きが見える。高い空のした、たおやかで、繊細なコスモスは、つねに動きつづけるおおいなる「気」の表徴です。
「精神の運動」、そして和泉式部の歌の「我が身よりあくがれいづる魂」に言及した石川淳は、おおいなる「気」を自在にあやつる仙人でした。なにより、コスモス、それは宇宙でもある。

さて、合宿では、いつもの稽古にくわえて、木刀と杖(じょう)をつかいました。
くんだふたりが木刀をもって構え、カン、カン! と打つ。(としか書けないのです、忘れてしまって)
わたしは尖端恐怖症です。フェンシングを見るのが怖い。剣道もたぶんだめ。けれど、この木刀は尖端が怖いということもなく、緊張感と手応えがあって爽快でした。
木刀と杖の稽古はこのとき1回だけ。その後も木刀の体感が忘れられず、近所の武道具店でひと振り買い、狭い家のなかで振り回していました。無手勝流ミランダの木刀稽古じゃ、えいっ。

この木刀、意外なことに役立ちました。ネズミです。台所の米びつの陰から飛びだしてきたネズミを、カン、カン! と叩いて気絶させてやりました。もっとも、叩いたのは夫で、わたしは悲鳴をあげただけでしたが。
木刀の先にネズミの毛がはりついたので、それを怖ごわ拭いました。いまでもこの木刀は、どこかにしまってあります。
泰山鳴動して鼠1匹。・・・合気道、合気道とおおげさに騒いで木刀まで買ったけれど、ネズミ1匹しかしとめられなかった。しかもしとめたのは夫でわたしは悲鳴のみ。・・・むろん、これ、試験問題の解答では、まちがいなくバッテンですから、お気をつけくださいね。



サインの文字から「気」がでている、と書いたために、合気道と「気」について、えんえんと書くことになりました。このテーマ、もうすこし続きそうです。次回は来年。

当ブログへおこしの皆さま、1年間ありがとうございました。
コメントや拍手をくださった皆さま、励みになります。感謝します。
皆さま、良いお年をお迎えくださいませ。



1-PC266900.jpg

彫塑、全身像のうちの顔部分。モデルさんはこの日で終わり。完成できずに時間切れです。(とくに右腕がデゴデゴ)
写真を撮ったあとは、型取りしないで壊すという、むなしいことを続けています。(全身像はまた改めて載せます)




コメント

かやのたも

ミランダさん、こんばんは、

今年1年お世話になりました。

来年もよろしくお願いいたします。

風のミランダ

Re: タイトルなし
かやのたもさん、新年おめでとうございます!

もう火傷はよくなられたでしょうか。火傷は1年の厄落としということで、今年はさらにパワーアップ、ご幸運をお祈り申しあげます。

今年もよろしくお願い申しあげます。v-22
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プロフィール

風のミランダ

興味の対象は演劇、映画、文学です。趣味は彫刻、写仏、乗馬など。何十年も生きてきて、話題盛りだくさん、といきたいところですが、あんがい狭い?