合気道と「気」:その3 箸袋

あたらしくできた合気道部に、とちゅうからはいったわたし。
ほとんどが女子部員で男性はT課長とKさんだけ。お化粧むんむんのわかい女子部員のなかに、セクシー先生がはいればどうなるか。
息もできないほどの緊張しはりつめた空気よりも、おだやかで静かな気が道場にみちるだけ。

稽古の最初と最後に「呼吸法」をします。吐く、吸う、止める、吐く。先生が拍子木を打って、息の切り替えの合図をする。
その頃のわたしは喫煙者でした。ただでさえ肺活量がちいさいのに、ぜんぜん息がつづかない。あぐらにくんで、息を吐く。からだの底から息をだし、吐ききる。吐ききっても、合図の拍子木が鳴りません。ハアッと前へのめって吐ききって合図を待つうち苦しくて、スッスッとひそかに吸ってごまかします。吸うときも、おなじくごまかして。

けれど、効果はそれなりにありました。吸った息を止めて、すとんと臍下丹田におさめる。そして吐く。気が充満してくるのがわかりました。からだがあたたかくなるのです。

さて、さきに合気道部にはいり、東京本社の合気道部の人たちと交流してきたU先輩が、酒の席でおもしろいことをいいだしました。
まず箸袋とわりばし。箸袋をふたつに折り、さらにそれを縦に折る。その折った箸袋を刀に見立て、わりばしに振りおろす。するとわりばしが折れる。「気で折れるんだって」というんです。「力をいれちゃいけないの。もうこんなふうに酔ってるくらいでちょうどいい。それで気だけで、わりばしに・・・」
ふわふわっとUさん、箸袋でなんどもわりばしを折ろうとしました。
「よし、おれが」と、大酒飲みのKさんも挑戦します。

さすがになにか、うさんくさい。ふたりがなんどやっても、箸袋がクシャクシャになるだけです。
そのうちKさん、「えいっ、これでどうだ!」と、わりばしを両手でへし折ってみせました。
無邪気でほがらかだったKさん、早めに行った天国では、鼻息でわりばしを折っているかしら。

合気道の創始者、植芝盛平は、ふつうではない神秘的能力を持っていたそうです。もし箸袋でわりばしが折れるなら、見てみたかったです。

ところで合気道の先生、いつも姿勢がよく、威厳があって完璧に見えました。一緒にお酒を飲むときもまったく乱れがない。臍下丹田から宇宙へ、アルコール筒抜け状態です。
ある日、Kさんから先生のうわさを聞きました。
「あのね、先生の奥さん、でてっちゃったんだって。先生が毎晩飲み歩いてなかなか帰ってこないから、それで奥さん、怒って、でてったみたい」

それを聞いた直後のお稽古は、いつもとこちらのこころもちが違いました。先生がまじめな顔でどんなに威厳があるようにふるまっても、やはり「奥さんにでていかれた哀れな亭主」なんですよね。
あ、先生、ごめんなさい。
その後、すぐに奥さまは戻られたと思いますが。

ちょっとだけほころびが見えた人間的な先生とくらべて、黒帯のT課長は超人でした。T課長もやや小柄で姿勢がよく、いつもおだやかな笑みをたたえていられました。
どのように超人的だったかは、また次回。



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「マグロとアボカドのワサビ醤油あえ」

木で完熟させたアボカドのおいしさに目覚めてからは、この1品がマイブーム。完熟アボカドは生協のスーパーで手にはいります。
アボカドはカリウムが多いので、カリウム制限をしている人にはNGです。けれど、一般的には、この取り合わせは健康にいいですよね。







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プロフィール

風のミランダ

興味の対象は演劇、映画、文学です。趣味は彫刻、写仏、乗馬など。何十年も生きてきて、話題盛りだくさん、といきたいところですが、あんがい狭い?