『兄おとうと』演劇塾公演

恒例の演劇塾年1回の公演『兄おとうと』を観ました。

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(公演ちらし)

作:井上ひさし
演出:木崎裕次

知人が出演していて、公演を観るのは今年で4回めです。
会場が毎年おなじなのに、なぜか今回、道に迷い、地下鉄の出口をでて反対方向に歩いてしまいました。
途中でおかしいと気づき、地下鉄出口へ引き返し、やっと会場のある損保ジャパンビルを発見。

走って会場へむかい、着いたのが開演5分前。
いちばん後ろといちばん前の席しか空いていなくて、後ろに腰かけたら、となりの女性の香水に耐えられず、あわてていちばん前の席に移って腰をおろしました。

この席、うすい座布団を2枚重ねただけの、舞台と地続きのかぶりつきです。
役者さんが1メートル前にいる、もっと接近するときもある、唾も汗も飛んでくる危険地帯。

けれど、先週の火曜にサンタを撮っていて、植木鉢にぶつかり、お尻と腰を打ってみごとに痣を作ってしまったわたしにとって、なにが危険かって、むろん、腰の痛みに決まっている。

休憩なしのダイジェスト版で1時間40分。その間、足を組み替えたりの努力もむなしく、すっかり腰痛が悪化してしまいました。

けれど、音楽評伝劇なので、楽しいことは楽しかったのです。

この作品、名演でも何年か前に観ました。
吉野作造は民本主義(Democracy)を唱えた思想家で、10歳下の弟、信次は高級官僚。
ふたりとも東大法学部を主席で卒業した秀才です。

この兄弟、思想的にはまったく相容れない立場にありました。
兄は大正デモクラシーの立役者となった人物で、晩年は社会民主主義的傾向を持つにいたった反体制派。
弟は天皇制下の高級官僚。

名演例会で観たときの記憶では、兄弟間のイデオロギー論争が印象的でした。
兄弟のそれぞれの妻が、相容れない観念=兄と観念=弟のあいだをつなぐ聖母的役目をしていて、
それも印象に残っています。

人としてあたりまえの生活や望みが、かなえられる世の中、争いのない世界にしたい、という作者の心からの願いが、直截なことばで表現されている、という印象も持ちました。
直截なことばは、作者が残りすくない時間を意識して、いちだんと声をあげて語りかけているようにも思えたものでした。

今回の公演では、ダイジェスト版ながら、井上ひさしの味わいをよく表現していたと思います。

それにしても、井上ひさしの構成の巧みさ、深さに、あらためて畏敬の念を禁じえませんでした。
作者の切なる願い、思い、そして、ことばに対する繊細な感度、笑い。

「シェークスピアと井上ひさしの作品を観たいために名演の会員でいつづけています」といつもいっているわたしです。
ところが、『兄おとうと』以後の新作を名演(名古屋演劇鑑賞団体)で観ていません。
観たいです。絶筆となった『組曲虐殺』はテレビ中継で観ました。
生で観たいなあ。何度も観たいなあ。
ひさしぶりに井上ひさしの作品を観て、切に思いました。

ところで、かぶりつきの席は、役者さんと目が合うと戸惑います。
でも、ツケマツゲがはっきり見えたり、
男性の役者さんの爪に透明なマニキュアが塗ってあるのがわかったりと、
おもしろい発見もありました。

これだけ小さなホールで、舞台と観客席が近ければ、双方のやりとりがあって盛りあがっていく演出があってもいい気がします。

でも、それがあったら、いちばん前の席では観ませんね、わたし。恥ずかしがり屋なので。

知人のKさん、毎年、新しい役をこなされて、どんどん大きくなっていかれる気がします。
このブログがお目に触れるかどうかわかりませんが、陰ながら応援しています。



きょうのサンタ。

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サンタ「毎日サンタ、散歩にでますよ。飛んだり跳ねたり。ふつうに歩くの、つまらないから」

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サンタ「それで疲れて自分からケージにはいって寝るんです。おりこうでしょ。ん? なんか変ですか?」

コメント

かやのたも

こんばんは、

密室の香水は拷問ですねえ!

香水をつけないとひどい臭いなんでしょうかねえ!?

まだニンニクの臭いのほうが許せます。

風のミランダ

Re: タイトルなし
かやのたもさん、こんばんは。

若い頃は、わたしも香水をつけてました。たしなみだと思っていました。
でも、化学物質過敏症になってからは、まったくうけつけなくなりました。勝手なものですね。v-390
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プロフィール

風のミランダ

興味の対象は演劇、映画、文学です。趣味は彫刻、写仏、乗馬など。何十年も生きてきて、話題盛りだくさん、といきたいところですが、あんがい狭い?