• はみだした足
    暑くて長かった夏のおわりは雨つづきで、疲れがあふれて目の前に幕がはったようだ。目の前も、頭も、幕に包まれてどんよりと昏い。動きだす気にならない。寝不足のせいだろう。じっさい身体が内側から冷えていて、夜中に何度もトイレにいく。夏のあいだ行方不明になっていて、ようやくどこからか帰ってきた、まだ茫然自失、そんなふうな気もする。疲れをいやそうとして、昼、ベッドに横になり布団にもぐった。エアコンをかけている...
  • 『王女メディア』をDVDで観る
    「ギリシアはとても寒かった」と、友人がいっていた。たしかにアンゲロプロスの映画でも、寒そうな景色だ。薄い亜麻布1枚のキトンだけでは寒いだろうとしらべたら、その上にヒマティオンという1枚布の外套を着るのだそうで。ヒマティオンは冬はウール、夏は麻。貧困層と哲学者は、キトンを下に着ないで、ヒマティオンを直接肌にまとったという。哲学者は貧乏だったのか。いまもあまり事情はかわらない気もするが、服が買えないほ...
  • 「ギリシア陶器『古典』の誕生」 愛知県陶磁美術館
    「ギリシア陶器『古典』の誕生」 愛知県陶磁美術館ポスターの写真が、20数年前にローマで観たエトルリア文明の陶器によく似ていた。なつかしくて観にいった。(拡大)BC400~500くらいの年代のものが多い。まさにエウリピデスの活躍した時代。ギリシャ悲劇『メディア』の観客は、こんな陶器も日常的に見ていた、と思うと感慨深い。(イタリア中西部のエトルリア文明もほぼ同じ時代で、古代ギリシャとは交易もおこなわれて...
  • 『さよなら、人類』 ロイ・アンダーソン監督
    『さよなら、人類』 ロイ・アンダーソン監督(スウェーデン)(公開中) (チラシ)スウェーデンのどこかの街。画面のペールトーンは、どこかなのかわからないニュートラルな場所を表現したかったとのこと。場所もそうだけれど、それ以上に、いつの時代なのかわからない効果があって、ノスタルジックな空虚感がある。いつの時代? ということであれば、18世紀の国王が馬に乗って現代に闖入してくるのも、それほど不自然ではな...
  • クラウス・ノミ
    このところ悲観脳(rainy brain)と楽観脳(sunny brain)のことをテレビでやっていたせいもあって、家でも、友だちとも話題になった。熱心に観たわけではないので、おおまかにしか書けないが、悲観、楽観の脳は遺伝子と環境によって決定されるという。そして、悲観脳は認知行動療法によって改善されるとのこと。いや、わたしが書きたいのはそのことではない。ネットで、クラウス・ノミというアーティストを見つけた。1944年生まれ...
  • 『茨姫』 地点
    『茨姫』 地点作:水都サリホ演出:三浦基(8月13日 公演 愛知県芸術劇場小ホール)地点の評判がいい。観たいと思っていたところ、すてきなチラシが目にはいった。AAF戯曲賞受賞作『茨姫』 (チラシ)ロビーに閲覧用の戯曲がおいてあったので、作者のことばと、導入部をすこしだけ読んで、会場にはいった。まず驚かされたのは、ホールの3分の2ほどが深さ1メートルほどの水のないプールになっていることだ。その3方を客...
  • 小悪魔的男子:ジルベール
    小悪魔的男子で思いうかぶのはピーター(池畑慎之介)で、現在のピーターは妖女という存在かもしれない。しかし、それとはべつに、わたしのなかで圧倒的な存在感をもつ小悪魔的男子は、『風と樹の詩』のジルベールだ。竹宮恵子『風と木の詩』、萩尾望都『ポーの一族』、山岸凉子『日出処の天子』、いずれも1970年代から80年代に話題をあつめた少女漫画で、わたしはこの本を、6歳下の女の子の薦めで読んだ。おませな小学生が...
  • よりよい日に向けて
    テレビをなんとなく観ていたら、妖怪の話をしていた。巻物に、昔のいろんな妖怪の絵が載っていた。百鬼夜行図とか。ぬらりひょんとか、そんなのだったと思う。なにせ暑くて記憶力がかなり低下している。文章もへろへろだ。いまもし、妖怪絵巻をつくるなら、酷暑のおばけをかならずいれてほしい。どですかでん、と名古屋以西にいすわる極酷極暑どですかどん。「どですかでん」は黒澤明の映画のタイトルだ。昔、テレビで観た。奇妙な...
  • わが家の小悪魔的男子
    わが家の小悪魔的男子、サンちゃんです。手前の白いふさふさは、お手てです。悪魔の尻尾じゃないよ。でもね、ほらほら、小悪魔のキバがあるぞう。きゃっきゃ。夏バテしないでね。もうすぐいい季節になるよ。暑さきわまれば、寒に転ず。宇宙の法則だよ。...
  • 魔女と妖女と小悪魔と
    王女メディアが魔女だった、すくなくとも、魔術をつかった、という記事を前回書いた。その夜、ひさしぶりに湯船に別役実の『思いちがい辞典』という文庫本をもちこんだ。よく眠れるように10分間湯船につかる、その退屈しのぎのために、この本を湯船で再読している、というのは以前に書いたとおり。さて、ひさしぶりにシオリのところで本をひらいたら、題名が「魔女」なのだ。びっくりした。何度もいうけれど、王女メディアが魔女...

プロフィール

風のミランダ

興味の対象は演劇、映画、文学です。趣味は彫刻、写仏、乗馬など。何十年も生きてきて、話題盛りだくさん、といきたいところですが、あんがい狭い?