悲観、楽観に傾かず、水平飛行でまいります。上空、笑い、いささか寒うございます。お乗りのかたは、マフラー、手袋をお忘れなく。
 『ヘンリー四世 Part1』、『ヘンリー四世 Part2』は、じつはヘンリー四世の息子である後のヘンリー五世の若い頃の話が中心になっている。
 ハル王子( ヘンリー五世)は、悪い仲間と酒場で飲んで遊んで騒いでいる放蕩息子だ。悪い仲間の筆頭がフォルスタッフ。フォルスタッフ、名前からして「嘘つきお」くんという、いかがわしさ。シェイクスピアの生んだ最大の道化といわれている。

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左:ハル王子(トム・ヒドルストン)、右:フォルスタッフ(サイモン・ラッセル・ビール)

 えっ、この男のどこに惚れたの、といわれそうだ。若い頃のいい写真がないのだ。
 どこがいいって、なんといっても笑顔。笑うと口角がキュッとあがる。愛嬌があっていかにもモテそう。が、ただそれだけなら、たんなる遊び人だろう。が、ハル王子の放蕩は、演技なのだ。将来王座についたとき、あの放蕩息子がこんなにも立派な王になった、と人々にいわれ尊敬されたいための策略なのだ。

 うつけ者、といわれた若い日の信長と、事情は違うかもしれないが、ハル王子の放蕩は信長を思わせる。

 ハル王子の父ヘンリー四世は、この放蕩息子に失望していた。しかし、反乱軍を制圧する必要に迫られたとき、戦いの陣頭指揮をハル王子が名乗りでたのだ。直後、ハル王子の顔は豹変した。

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左:ハル王子、右端:父王ヘンリー四世

 豹変したハル王子は、凛々しく知性的、崇高で、目は力強い意志と悲しみをたたえていた。(惚れたんだから、みっともないほどの最大級の賛辞をします)
 どこに惚れたって?  その豹変ぶりにさ。放蕩から気高き人へと豹変したその落差にさ。
 ううん、ハル王子の策略どおりではないか。

 ところで、ひさしぶりに映画を観たせいか、絵の美しさに感動した。
『嘆きの王冠』シリーズは、監督が違うせいもあるが、後になるほど戦いの場面が多くなる。刺す、切る、首がころがるなど、リアルで凄惨な殺戮が繰り返される。

 しかし、『ヘンリー四世 Part1』、『ヘンリー四世 Part2』は同じ監督(リチャード・エア)であり、フォルスタッフの存在が大きいせいで、特に最初の『ヘンリー四世 Part1』では、戦いの場面が終わりに少しでてくるだけである。
 
その戦いは雪の中であり、両軍が衝突するモノクロームに近い世界は幻想的で美しい。

さて、ヘンリー五世が即位して、シリーズは次の『ヘンリー五世』に移る。

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 シリーズの中で、このヘンリー五世だけが、玉座でこのように革の赤いジャケット、革のズボン、革靴を履いている。今ふうで、お洒落だ。

 昔、岐阜歴史博物館(?)で、信長の革の服を見たことがある。詳細を思いだせないが、なんてハイカラでお洒落なんだろう、とびっくりした。

ヘンリー五世にこんな格好をさせた制作の人は、信長を知っていたのではないかと思ってしまう。
ヘンリー五世が信長に似ているのは、そればかりではない。似たような戦いがある。それは次回へ。



 

 

 

[2017/08/26 16:30] | 映画
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