悲観、楽観に傾かず、水平飛行でまいります。上空、笑い、いささか寒うございます。お乗りのかたは、マフラー、手袋をお忘れなく。
20数年前に狂言を習っていた友人のSさんは、10年前の7月初めに亡くなった。狂言のおもしろさを教えてもらって感謝している。
今でも狂言共同社では、一般の人向けに「稽古」を行っている。ホームページにはその発表会が毎年9月末に名古屋能楽堂で行われる、とある。

プロの狂言師はほとんど男性だが、習っている人は女性が多いとのこと。

佐藤融氏の実演は、会議室が狭いこともあって、至近距離で観ることができて、まずその迫力に圧倒された。

お父上の佐藤友彦氏も知的で端正な美男子だが、佐藤融(さとうとおる)氏は端正さに甘さをくわえたハンサムだ。名演事務所の片隅で、始まる前の打ち合わせをされているとき、通りかかったわたしにまで挨拶をくださった。びっくりの、どっきりだった。好感度抜群。

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実演を観ながら、ことばの微妙な余韻に酔いしれた。
狂言は、落語に独特のアクションをくわえた性質を持つ。そのことの魅力のほかに、わたしにとってもっとも惹きつけられる要因は、ことばの古風ないい回しと京風のアクセントにある。

わたしの母の実家は、滋賀県に近い岐阜県の山奥だ。
母方の先祖は何百年か昔に、滋賀県から移ってきたという。それゆえ、ことばが、微妙に京風なのだ。

去年の12月に母とその妹の魔女叔母たちと京都へ旅行した。そのとき、魔女叔母が「京都のことばは、ええなあ。好きやな」といっていた。同感だ。

山の中の母の実家は自然が豊かで、わたしが子供の頃、桃源郷のように思っていたところである。真夏でも冷たい谷川、探検できる山の斜面と森。木登り。竹馬。家のなかには牛がいて、草をやると舌でからめ取って食んだ。馬もそうだが、ばかでかい顔の中のまるい大きな目が愛らしかった。

その頃、祖父母のことばには、現在の代の叔父のよりも、もっと京風が残っていた。

標準語のブルドーザーが古い京風ことばを一律に均していった今は、もうかつてのようなニュアンスを聞くことができない。
が、狂言のことばには、それがある。桃源郷のことばの源流が、たしかに今もある。そのことが懐かしく、嬉しい。

佐藤融氏のことばには、まろやかな京風が滲みていて、ともかく心地よかった。
ちなみに、狂言を初めて観た夫は、いっぺんに佐藤融氏のファンになってしまい、公演案内を送ってもらうようアンケートに要望をだしたという。

かつて名演例会で観た狂言は、京都の大蔵流だった。4世茂山千作の天衣無縫といわれる演技が印象に残っている。大蔵流のことばは狂言共同社よりもっと京風、というか、本場だものね。

がわがわ、がわがわ、がわ。これ、川で洗濯をする音。(大蔵流)
狂言は聞いたこともない擬音がでてきて、本当に楽しい。

有名な野村萬斎の舞台を生で観たことがない。機会があったら観たいと願っている。

ところで、以前は、「狂言師」といういいかたをしたが、現在では、「能楽師狂言方」というそうだ。そのいいかたのほうが格上に感じられるのかな。

様式美もいいし好きだけれど、狂言のしたしみやすさもなくさないでほしい。いろんな流派があって、それぞれに個性があるのもまた観る側にとっては、楽しみなこと。「伝統」というとわたしは敬遠しがちだけれど、こういう伝統芸能は別、たくましく豊かに生きのびてほしいと思う。

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さんちゃん、元気でいますよ。




[2017/06/30 15:00] | 演劇
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mebi
こんにちは👋😃狂言は私にも分かりやすい伝統芸能。運よく萬斎氏や大蔵流の狂言も拝見しているのですが、それでも10回は観ていないかしら。そういえばSさんも狂言にチャレンジしていましたね。残念ながら舞台は拝見していませんでしたが。もうすぐご命日ですね。

Re: タイトルなし
風のミランダ
mebiさん、こんばんは。コメント、ありがとうございます。v-254

狂言講座は7月中旬にも1回あります。Sさんの命日を挟んで講座が開かれるのは、何か縁を感じました。熱田神宮能楽堂で半日、ずっと狂言を観ているのも、なかなかいいものでした。Sさん、おやめになるの、残念だったでしょうね。


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こんにちは👋😃狂言は私にも分かりやすい伝統芸能。運よく萬斎氏や大蔵流の狂言も拝見しているのですが、それでも10回は観ていないかしら。そういえばSさんも狂言にチャレンジしていましたね。残念ながら舞台は拝見していませんでしたが。もうすぐご命日ですね。
2017/07/01(Sat) 16:11 | URL  | mebi #-[ 編集]
Re: タイトルなし
mebiさん、こんばんは。コメント、ありがとうございます。v-254

狂言講座は7月中旬にも1回あります。Sさんの命日を挟んで講座が開かれるのは、何か縁を感じました。熱田神宮能楽堂で半日、ずっと狂言を観ているのも、なかなかいいものでした。Sさん、おやめになるの、残念だったでしょうね。
2017/07/01(Sat) 19:32 | URL  | 風のミランダ #-[ 編集]
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